1,300本に減った西公園の桜

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 福岡市中央区の西公園を散策中、ソメイヨシノの根元に「お酒をかけないで。桜が枯れます」と書かれた看板があるのを目にした。病害虫に弱いと言われるソメイヨシノだけに、酒をかけられ雑菌でも繁殖すれば、本当に枯死する恐れもあるのだろう。それにしても、いくら花見に酒は付きものと言っても、桜にまで飲ませることはないだろうに…。

 昨年5月に「影が薄い西公園」という記事を書いたが、ここは市内では有数の桜の名所で、毎年春には花見客で大にぎわいする。日本さくらの会が1990年に選定した「日本さくら名所100選」にも福岡県内からは唯一選ばれているほどだ。ただ、公式サイトで園内のソメイヨシノの数が約1,300本であることを知り、あまりの少なさに少し驚いた。以前は“3,000本の桜”を誇っていた記憶があったからだ。

 念のため図書館で新聞データベースを検索した結果、「福岡市中央区・西公園には二千八百六十本のソメイヨシノがあるが…」と書かれた記事(1992年3月13日の読売新聞夕刊)が見つかり、記憶に間違いがなかったことを確認した。この数字通りならば、桜の数はこの20数年で半分以下にまで激減したことになる。ソメイヨシノは一時は寿命60年説が広まるなど長生きさせるのが難しい樹種だと聞くが、半分以下に激減というのは穏やかではない。

 まさか、本当に酒で次々枯死しているわけではないだろうと思い、管理事務所に電話で尋ねてみたところ、「この11年間は1,300本という数で一定している」という回答をもらった。11年という期間が妙に中途半端だが、福岡県営の大濠公園、西公園の管理は2006年度以降、県に代わって西鉄のグループ企業が指定管理者として担当しており、「我々が管理するようになって以降は本数に変動はない」という意味だ。それ以前(つまり福岡県の直営時代)のソメイヨシノの数については正確な記録がなく、何本減ったなどの比較はできないというが、「以前はもっと多数の桜があったという話は聞いており、工事で撤去されたり、枯れたりして減った可能性はある」とのことだった。

 県側はどのように受け止めているのかと思い、県議会の会議録を調べたところ、昨年6月議会で小川洋知事が「現在、樹木の専門家による桜の調査を行っておりまして、今後、その結果を踏まえて桜の再生を計画的に行い、公園の魅力向上を図ってまいります」と発言しているのを見つけた。西公園の桜が往時の勢いを失っているという問題意識は県側にもあるわけで、桜の数が大幅に減ったのは間違いない事実だろう。

 蛇足だが、福岡市関係者の中には、市営の舞鶴公園ではなく、県営の西公園が「日本さくら名所100選」に選ばれたことを悔しがる声があったようだ。1990年代の市議会の会議録には「西公園の桜は舞鶴公園に比べて元気がない」「県はあまり世話をしていない」といったやりとりが残されていた。
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