大きな愛の鳥

旧聞に属する話2010-愛の鳥1

旧聞に属する話2010-愛の鳥2

 ヤフードーム近く、福岡市中央区地行浜の公園に、巨大な鳥の像が立っている。けばけばしい色彩のうえ、鳥の目付きがやたらと悪く、あまり上品なオブジェには見えないが、世界的に著名なフランスの女性彫刻家ニキ・ド・サンファルという人の作品だ。タイトルは「大きな愛の鳥」。福岡市の買い取り価格は確か億を超えており、1993年の購入当時、一部報道機関が「無駄遣いだ!」とかみついたことを記憶している。

 ニキ・ド・サンファル。女性を中心に熱狂的ファンが多い作家らしく、栃木・那須高原には先頃まで、個人コレクターが開設したニキ美術館があり、かなりの来館者を集めていたと聞く(開設者死去により、現在は閉館しているらしい)。

 この作品の購入は、先々代市長が進めた「彫刻のあるまちづくり」の一環。この事業によって市内には20数体の彫刻が飾られており、ヘンリー・ムーアやキース・へリング(写真下が作品)ら、ニキ以上に著名な作家の作品も含まれる。これらの作品の購入価格も恐らく結構な値段だったことだろう。

 福岡市がこの事業を進めた昭和末期から平成初期(いわゆるバブル景気の時代)、全国の多くの自治体が同じようなまちづくりを進めている。地元の若手を育てるため、彼らの作品を買い上げていったケースもあったようだが、目玉として国内外の有名作家の作品を買いあさった都市も多かったのではないか。この時代、美術商にとって日本の自治体は結構なお得意さんだったに違いない。

 国内全体が不況に沈む今、いくら文化事業とは言え、気前よく彫刻を買い続けている自治体など恐らくないだろう。福岡市も2001年を最後に、この事業による彫刻設置は途絶えている。気になるのは、あの時代に買い上げた作品が先物買いだったのか、それとも無駄遣いだったのかという点だ。「野暮」と言われるかも知れないが、各作品の現在の鑑定価格を知りたいところだ。専門家に鑑定を依頼すれば、また公金を使うことになり、それこそ「無駄遣いだ!」と非難されそうだが…。


旧聞に属する話2010-ヘリング
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