春の風物詩シロウオ漁

IMG_4568.jpg

DSCF1577.jpg

 福岡市西部を流れる室見川河口で、シロウオ漁のための仕掛け(やな)作りが行われている。今年の漁解禁は今月16日。透き通ったこの魚は福岡では春を告げる魚として珍重され、生きたままポン酢しょうゆで食べる「踊り食い」が特に好まれている。ツルッとしたのどごしが絶品らしい。長年福岡に住んでいながら、“らしい”と書くぐらいだから食べたことはない。シロウオ会席などは意外と値段の張る料理で、リーズナブルな食生活を送っている私には結構敷居が高いのである。

 このシロウオ漁、以前は福岡特有のものだと思っていたが、インターネットで各地のローカルニュースを読める時代になり、日本のあちこちで“早春の風物詩”として扱われていることに気付いた。今年もすでに熊本・天草や佐賀・唐津で漁が始まったとのニュースが届いている。ほかにも山口や愛媛、和歌山、石川、青森などの各県にもシロウオ料理を名物にしている土地があり、要するに日本全国の沿岸にシロウオは生息しているらしい。

 地元固有の食べ物と思い込んでいたなど恥ずかしい限りだが、一応釈明させてもらえれば、福岡市の公文書にも堂々と「春先のシロウオ漁は福岡ならではの風物詩であり食文化」などと書かれている。これも一種の“モンチ”精神なのだろうか。(モンチの意味については
「謎の言葉『モンチ』」参照)

 福岡に関しては少なくとも江戸時代からシロウオ漁が行われていたとされ、実際に貝原益軒の『筑前国続風土記』にも“麪條魚”という難しい漢字でシロウオは紹介されている。当時は室見川(続風土記では早良川と記載)だけでなく、遠賀川や宗像川(現在の釣川のことだろうか)にも遡上していたようで、漁獲量は「甚多し」と記されている。漁がいつ頃から室見川だけになったのかはわからないが、河川改修などが影響しているのだろう。室見川にしても一時は漁獲量が10㌔程にまで落ち込み、存続の危機に立たされたことがあったという。

 なお、室見川には内水面漁協がなく、潮干狩りなどの際には入漁料が不要だと以前に書いたことがあるが(
「漁業権がない室見川」)、シロウオ漁に関しては「室見川シロウオ組合」があり、この組合が稚魚を放流したり、産卵場を整備したりなどの活動も行っている。料亭で食べると高いからと言って、勝手に網ですくって持ち帰ったら“密漁”である。
関連記事
スポンサーサイト
[Edit]

コメント

非公開コメント