電気カミソリ爆弾殺人

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 現在の宗像市で1973年11月に起きた日の里団地ガス爆発事故について4年前に調べた際(「日の里団地のガス爆発」)、この1973年11月には異常なほど大事件や大事故が相次いだことを知り、驚いたことがある。『警察白書』の「昭和48年中の主なできごと」によると、この月に起きた主だった事件・事故だけでも次の通りだ。

15日 日の里団地でガス爆発、2人死亡・13人重軽傷
17日 大分県九重町で電気カミソリ小包爆弾を使った殺人事件発生
19日 長野県上伊那郡の煙火工場で爆発、4人死亡・2人重傷
22日 北アルプス槍ヶ岳で京都大のパーティーが雪崩に遭い5人死亡
24日 東京・巣鴨の住宅街で化学工場が爆発、3人死亡・12人重軽傷
25日 ベイルートで日本人175人を含む279人が乗ったKLM機がハイジャック    
26日 那覇市のビル建設現場で大規模陥没事故。住宅8棟が全半壊
29日 熊本市の大洋デパートビルで火災。103人死亡の大惨事に

 4年前には気にもとめなかったのだが、17日に起きた電気カミソリ小包爆弾殺人とはかなり物騒な話で、過激派による爆弾テロを思わせる。どんな事件か調べてみたところ、ドロドロした不倫の末の殺人事件とわかり、拍子抜けした。殺害の手口が特異だったものの、事件の構図は何の変哲もないが、「ゲスの極みよりもゲスな」国会議員の不倫が騒がれている時でもあり、せっかくなので簡単に概要を紹介させていただきたい。

 事件が起きたのは1973年11月17日午後6時半頃。採石場に勤める男性(33)が自宅に送られて来た充電式の電気カミソリを居間のコンセントに差し込んだところ、突然大音響とともに爆発、破片が心臓に刺さり男性は即死した。居間には男性の妻(27)と長女(4)もおり、同じこたつに入っていたが、とっさに身を伏せ難を逃れたという。電気カミソリの差出人には女性の名前が書かれていたが、後に架空の人物だとわかった。爆発の凄まじさから、警察は電気カミソリの中に爆薬が仕込まれていた疑いが濃厚として即座に殺人事件として捜査を開始した。

 9日後の26日に逮捕されたのは妻の不倫相手のダンプカー運転手(35)で、こちらも妻子持ち。W不倫を男性に知られ、100万円を要求されたことが殺害の動機で、電気カミソリ爆弾は、自ら爆薬と雷管を仕掛けて作り上げたという。ダンプカーの運転手がなぜ、爆弾を自作するだけの知識、技術を持っていたのか疑問だが、砂利運搬のため採石場に出入するうちに覚えたことになっている。爆薬は知人からもらったという。男性の妻も再三取り調べを受けたが、無関係だったようだ。たまたま無事だったとは言え、事情を知っていたのならば、爆発の際、同じ部屋にいたはずがない。運転手には大分地裁中津支部で75年3月、懲役13年の判決が下っている。

 冒頭書いたように、大事件・大事故が続発していた時だったため、この事件に対する世間的な注目度は高くなかったようだ。当時のテレビ欄をチェックしたが、連日多数のワイドショーが放送されていた時代なのに、この事件を取り上げた番組は見当たらなかった。辛うじて見つかったのが上の『週刊新潮』の広告だ。不倫の末の殺人よりも、「国会議員にも育休を」などと喚いた衆院議員の不倫の方がニュースに違いない。
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