丸島のサル



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 宮崎市の大淀川河口に、地元で「丸島」と呼ばれる中州がある。広さは4万平方㍍以上あるらしいが、無人。真上を一ツ葉有料道路という自動車専用道の橋が横切っている。1990年前後の話だったと思うが、この丸島にサルが生息しているという噂があった。木々が生い茂ってはいるが、サルが生きていける程の餌があるとは到底思えず、付近に生息地があるわけでもない。間違いなくデマだろうと当時は思っていた。

 この連休中、大淀河畔を散歩していてジャングルみたいな丸島の姿を目にし、サルの噂を思い出した。インターネットで調べたところ、意外なことに実際に目撃したという人の証言があった。さらに、この人は地元民放が丸島のサルを番組で取り上げ、放映したことも覚えているという。いつ頃の話かは書かれていなかったが、こんな話がそうそうあるとは思えないので、恐らく私が聞いた噂話のサルと同一なのだろう。山から下りてきて迷ってしまったのか、あるいは飼われていた個体が逃げ込んだのか。

 このサルがどうなったのか知りたいと思い、宮崎で生まれ育った親族・知人に尋ねてみた。中には大淀川河口近くに住んでいる人もいるのだが、誰一人サルの消息を知る人はおらず、そもそも丸島のサルの話自体を「初耳」と答えた人も少なくなかった。釣り人の中には丸島に渡る人もいるらしいが、大半の市民にとっては遠目に眺めるだけの存在だ。さらに、郊外に行けば、野生のサル自体が珍しくもない土地だけに、あまり関心を呼ぶ話ではなかったのかもしれない。

 丸島を覆っている木々はヤブニッケイ、タブノキの群落やホテイチクだと国土交通省の資料にあった。この森林にはコサギやゴイサギなどのコロニーがあり、丸島は野鳥たちの貴重な生息地、休憩地だという。

 丸島に関してさらに調べてみると、ここに遊郭が建っていたという情報があった。大淀川河口右岸の城ヶ崎は江戸から明治にかけて交易で栄えており、この時代に遊郭が存在したらしい。遊女の逃亡を防ぐため、中州に遊郭を建てたというのは理屈が通る話ではあるが、大淀川が増水すれば、沈みかねない場所で本当に人が暮らせるものだろうか。サルの生息以上に信じがたい気がする。機会があれば、真偽を確かめてみたい。



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コメント

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No title

丸島の猿ですか、懐かしいですね。

私が子供の頃に、最後の一匹が残ってましたが。知らない人が多いっていうのは意外でした。

Re: No title

コメントありがとうございました。
記事に書いた通り、宮崎在住に聞いたのは噂だけで、本当に住んでいたとは当時知りませんでした。
その後も色々調べてみると、丸島の猿は誰かが放し飼いしていたそうですね。

No title

そうですね、実際誰が放し飼いしたのかまでは定かでないんですけど。

市の中心河川の河口部だし、あんなとこに野生の猿がいるわけない。…とは思ってたんですが、2000年後半頃に近くの道路(丸島から500mも離れていない位置)で野生の狸の亡き骸(車に轢かれたもの)があったので、あながち野生の猿だったのかも…と思い出した事もあります。
丸島の猿の最後は、地元ローカルのニュースの1シーンもあったのですが90年代半ばから後半ぐらいの時期に、動物園(保健所だったかもしれない…)が捕獲して引き取っていましたね。

Re: No title

 猿が最後に動物園に引き取られたという話は初耳でした。貴重な情報ありがとうございます。動物園とは恐らくフェニックス自然動物園のことでしょうね。何か新しい情報が得られれば、続編を書いてみたいと思います。