捨てた娘を売った母親

 以前書いた記事の追跡調査で昭和40~50年代に起きた事件を調べていたところ、調査とは全く無関係だが、とんでもない事件に出くわし絶句してしまった。事件を報じた記事の見出しがすごい。<13年前に捨てた娘「金になる」 母親、引き取って売る>。1976年、九州某県で起きた。見出しだけでも事件の非道ぶりを理解してもられるのではないかと思うが、簡単にあらましを紹介したい。40年前ということは被害者らが存命の可能性が高いので、一部具体的地名は伏せさせていただく。

 主要な登場人物は2人だ。生活苦を理由に13年前に3歳の娘を捨てた母親(事件当時43歳)と、警察に保護された後、児童養護施設で育ち、私立高校に通っていた娘(同16歳)。母親は捨てた娘が施設にいるのをどういうわけか知り、引き取った。最初から娘でひと儲けすることを企んでいたのかはわからないが、すぐに高校を中退させ、芸者置屋に養女に出したというから、やはり金目当てだったのだろう。さらに夫(娘の父親なのかは不明)の入院中に愛人を作り、この愛人と共謀、置屋の女将を言いくるめて娘をいったん引き取り、今度はストリップ劇場に50万円で売り飛ばした。

 この事件で母親や愛人、ストリップ劇場の経営者が児童福祉法違反などの容疑で逮捕されているが、母親はこれ以前にも窃盗や強盗などで複数回の逮捕歴があり、パチンコ三昧の生活を送っていたという。施設側は面会に来た母親の人相風体を見て信用ならない人物だと見抜き、親元に戻すことには反対だったというが、娘の母親への憧れが勝ったらしい。事件が明るみに出たきっかけは、女子高校生が置屋にいるとの情報を警察が聞き込んだことだ。すでに置屋からはいなくなっていたが、行方を調べた結果、長崎県の温泉地にあったストリップ劇場に売られたことを突き止めた。

 そう言えば、以前は温泉地に行くと、繁華街の一角には必ずと言っていいほど小さなストリップ劇場(ストリップ小屋と言うのが正確かもしれない)があったものだが、娘が売られたのもこんな施設だったのだろうか。少なくとも九州ではすっかり見掛けなくなった。福岡市内にも以前は西鉄福岡駅近くの線路沿いに東洋ショーという劇場があったことを記憶しているが、中洲にも複数あったらしい。中学生ぐらいの頃は、国体道路沿いに設置されていた東洋ショーの大看板を見ては「大人になったら…」とこぶしを握り締めたものだが、東洋ショー自体がいつの間にか消えてしまった。

 最近読んだ朝日新聞記事によると、やはりストリップ劇場は絶滅寸前の状態らしい。一時は全国で300軒あったというが、現在ではその10分の1。1984年の風営法改正で営業時間が午前0時までに規制されたことが打撃となり、さらにインターネット普及で2次元の世界に走る人が増えたことも客足減に拍車をかけたという。インターネットで調べてみた限りでは、九州で今なお営業を続けているストリップ劇場は北九州市のJR小倉駅前に1軒あるだけだ。
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