九大近代建築物群の行方



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 九州大の伊都キャンパス(福岡市西区、糸島市)への統合移転が1年早まり2018年度中には完了する予定だ。箱崎キャンパス(東区)に残る近代建築物群の先行きが気になっていたが、箱崎キャンパス跡地利用協議会の話し合いの中で、どの建物を残し、どの建物を解体するか、大まかな方針がまとまったようだ。「九州大を象徴する極めて評価の高い建築物」(A評価)として保存・活用を前提としているのは、旧工学部本館(1930年建築)、本部第一庁舎(1925)、正門門衛所(1915)。一方、「構造的な劣化が著しく、利活用が困難」(C評価)として解体される見込みなのは保存図書館(1925)、旧応力研生産研本館(旧法文学部本館、1925)、旧応用物質化学機能教室(1927)など計8棟。 帝国大学時代の建物の多くはやはり消え行くことになりそうだ。

 箱崎キャンパス跡地利用協議会は福岡市と九大、地元・箱崎の住民代表からなる組織で、2013年8月以来、跡地利用計画を話し合い、この中で近代建築物群の取り扱いについても検討してきた。保存が打ち出された三つの建造物はすべて正門付近にあり、協議会が昨年2月にまとめた計画案では、この一帯を「近代建築物活用ゾーン」と位置付け、教育・研究機関などの誘致を図っていくことになっている。移転完了後も保存活用する事業者が決まらない場合は、九大が暫定的に管理し、継続して事業者を探していくという。

 九大には先に名前を挙げたものも含め20棟以上の近代建築がある。本部第三庁舎(1925)、旧船舶海洋工学実験室(1921)、創立五十周年記念講堂(1967)など11棟に関しては「比較的評価の高い建築物で、運営主体による費用対効果を考慮して取り扱いを検討する」(B評価)となっている。要するに残すかどうかは土地を購入する事業者次第ということで、保存・活用の考えがない場合は記録保存の後、取り壊しということになる。ただ、本部第三庁舎だけは 「近代建築物活用ゾーン」にあることから、現地での保存活用を図っていく方針らしい。

 結局、確実に保存されそうな建物は旧工学部本館、本部第一&第三庁舎、正門門衛所だけで、これに正門を加えてもわずかに五つ。B評価の建築物群の結果次第でこの数字は変わってくるが、伊都キャンパスの土地取得に掛かった費用を箱崎キャンパス売却で賄いたい九大側の事情を考えれば、建築物の保存優先というわけにはいかないだろうと思う。

 旧法文学部本館などは個人的には少し思い出があり、解体は残念な気がするが、「寿命に達している」という診断が出されていたこともあり、保存は100%無理だろうとは予想はしていた。なぜ、こんな大昔の建物に思い出があるかと言えば、私の通っていた学部が一時期、この建物に間借りしていたのである。わずかな期間であり、それほど濃厚な記憶ではないのだが、玄関付近の造りは非常に重厚で、また、本来の学部の建物より部屋がずいぶん広く、使い勝手が良かった印象がある。間借り期間中に通った工学部の学食が決して安くはないが、意外にうまかったことは、もっと印象に残っている。

 写真は上から順に、旧工学部本館、本部第一庁舎、正門門衛所、旧法文学部本館。下は解体予定建築物の一つの旧応用物質化学機能教室。いつの間にかフェンスで囲われ、取り壊しを待つだけという雰囲気だった。数年前に見た時はまだ現役で、重厚な外観を保っていたが、使われなくなると建物の劣化は早い。


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