福岡競艇

 福岡市が公表した2015年度予算の決算概要を読んでいて、競艇事業から15億円もの大金が一般会計に繰り入れられていることを知った。赤字にあえぎ、公営ギャンブル廃止に踏み切る自治体も少なくない中で、億単位の金を今なお一般会計に拠出しているとは、ずいぶん景気のいい話だ。調べてみると、福岡競艇の一般会計繰入金は最盛期にはなんと100億円を超え、1953年の開場以降の累計では2,781億円に上っているという。この金の約半分は市立学校建設など教育関係に、残りは道路整備、河川改修、保健福祉事業などに充てられたそうで、公営ギャンブルに金を使うのは税金を余分に払っているようなものだと考え込んでしまった。

 これだけ福岡市の財政に寄与しているのだから、福岡競艇の売り上げは相当なものだろうと想像したが、意外にそうでもなかった。全国モーターボート競走施行者協議会が公表している数字によると、2015年度の売り上げは約389億円で、全国23競艇場の中では12位(※競艇場は24場あるが、2015年度は鳴門が工事のため開催せず)。同じ福岡県内でも若松の約704億円(全国5位)、芦屋の約435億円(10位)をかなり下回っていた。周辺人口を考えれば、これは意外だが、大レースを開催すれば売上高はボンと跳ね上がるため、年によって変動は大きいらしい。

 福岡競艇の最盛期は平成の初めで、元年度(1989)から5年連続で売上高は1,000億円を突破し、毎年100億円以上を一般会計に繰り入れていた。2015年度の売上高は最盛期の3分の1近くまで激減していることになる。全国的にも売上高は最盛期の2兆円超から約半分に落ち込んでいるといい、昔は「ギャンブル産業は不景気の時に強い」などと言われたものだが、今では事情が違うのだろう。

 売上高が激減しているのだから、当然ながら来場者も減っている。競艇を主管する福岡市経済観光文化局がまとめた『ボートレース福岡 経営計画(案)』では課題の一番目に“本場来場者の減少”を挙げており、「平日は高齢者の来場が中心で減少傾向が続いています。土・日曜日には人気タレント、お笑い芸人等を起用したイベントを開催することで若者・家族連れ等の来場者も見受けられます。より一層の来場促進の取組が求められています」と記している。

 平日に若者や家族連れがギャンブル場などでたむろしている方がよほど問題で、現在の状況はある意味健全だと思うが、福岡市は来場者増の切り札として外国からの旅行客に期待をかけている。早い話が中国人、韓国人のことで、競艇のルールを説明する英・中・韓国語のパンフレットを作成したり、多言語対応の投票機器を導入したりなどの手を次々に打っている。

 騒ぎになった爆買いは福岡でもようやく沈静したが、あれで儲かったのは実は中国系企業ばかりで、地元はあまり潤わなかったという指摘もある。にも関わらず、大型クルーズ船を呼び込むため、福岡市は巨費を投じて博多港中央ふ頭を拡張しようとしている。「せめて競艇にでも金を落としてもらおう」という目論見は理解できるが、うまくいったらいったで、また面倒な火種を抱えることになりそうで心配だ。
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