クマ騒動の容疑者その後

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 ヒグマやツキノワグマが各地で人里に出没し、騒ぎになっている。九州ではずいぶん前に野生のクマは絶滅したとみられており、騒動とは無縁のようだが、福岡市のベッドタウン那珂川町で4年前、クマらしき動物の目撃談が相次いだことがある。ただ、どんな結末だったのかが記憶にない。改めて一件を調べ直し、驚いた。騒動の有力容疑者とされた犬が、後に痛ましい事件を起こしていたのだ。

 問題の犬は、ロットワイラーという種類の黒い大型犬。この犬が疑われたのは、ちょうどクマ騒動が起きていた当時、飼われていた別荘からたびたび脱走していたためだ。目撃談がいずれも車内からだったこともあり、「黒い犬をクマと見間違えた」という見方が有力だったのだ。“クマ”の目撃者はロットワイラーを見て「こんなに小さくなかった」と否定したらしいが、犬の脱走防止措置が講じられて以降、目撃談が途絶え、騒動は灰色のままで落着した。

 騒動から3年後の昨年10月、この町で今度は4歳男児が大型犬2頭に襲われ、死亡する事件が起きた。現場は、男児の祖母が管理人を勤める別荘内。犬は放し飼いにされており、うち1頭がロットワイラーだった。不幸な事件なのでこれ以上の詳細は省くが、二つの現場は住所等が一致しており、同じ犬だったのは間違いない。

 男児の死亡事件後、犬の管理の手落ちについては、さんざん新聞等で指摘されており、ここで繰り返すつもりはない。ただ、クマと見間違えるような大きな犬が放し飼いにされ、一時は野犬のように外をうろついていたことに恐怖を覚える。「人懐っこい犬だった」という飼い主サイドの証言があるようだが、飼い主に対してフレンドリーであっても、見知らぬ他人に対してもそうだとは限らないだろう。脱走時に事件が起きなかったのは、今となっては僥倖だったとしか思えない。

 九州のクマについて書くと、大分県の祖母・傾山系で1987年に捕獲されたツキノワグマが「最後の野生種」とも言われていたが、残された遺伝子を調べたところ、本州で捕獲されたクマか、またはその子孫であるとの研究結果がつい最近公表された。つまり、九州固有のクマはもっと早く絶滅している可能性が高いらしい。福岡県にはもともと生息していなかったようだ。写真はずいぶん前に阿蘇カドリードミニオンで撮影した、見た目は“人懐っこい”クマたちだ。
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