浜野浦の棚田

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 夕日に染まる棚田を撮影しようと5日、佐賀県玄海町の浜野浦地区に出掛けてきた。しかし、午後から雲が広がり、午後7時過ぎの日没時刻まで待ったが、残念ながら夕日は顔を出さなかった。田植えがちょうど終わったばかりのこの季節は、水が張られた棚田が夕暮れ時にはオレンジ色に輝き、1年の中でも特に美しいと評判だ。棚田を見下ろす展望台には多数のアマチュアカメラマンが集まっていた。狙い通りの写真が撮れず、残念だったが、曇り空の下の棚田も十分きれいではあった。

 浜野浦の棚田は、1999年に農水省が選定した「日本の棚田百選」の一つで、玄界灘に面した急傾斜地11・5㌶に283枚の水田が広がっている。農水省発行資料によると、棚田が整備されたのは1600年。近年までもっこで泥を運び、田を維持してきたという。資料が発行された2008年当時、浜野浦地区は農家数29戸の小集落だったが、農業者の平均年齢は51歳と若く、後継者も7人を数えていた。棚田の人気が地域に活気を与えているのだろう。

 「日本の棚田百選」は百選と言いながら、134か所が選ばれている。このうちの47か所、実に35%が九州地区からの選定だ。本来は稲作に適さない急傾斜地を苦労して水田に作り上げたのが棚田であるわけだから、平野部が少ない九州に多いのは当然で、対照的に首都圏からは千葉県内の1か所、広大な水田が広がっている(というイメージがある)東北からも計6か所が選ばれているだけだ。

 なお、余計な情報かも知れないが、浜野浦の棚田が位置する東松浦半島の先端には、再稼働が現在論議されている玄海原発がある。棚田からは直線距離で3㌔程だ。もっと余計な情報だが、この棚田は「恋人の聖地」なるものに認定され、展望台には場違いに思える教会風の鐘が設置されている。地元の人たちが棚田PRのため自ら応募して認定されたらしいので、余所者が口をはさむ筋合いなどないが、先人たちが営々と築き上げてきた景観に、軽薄とも思えるレッテルを貼るのは、かえってもったいない気がした。
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