連続立体交差、取り残される井尻

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 先日、福岡市博多区南部、大野城、春日市界隈を歩き、西鉄天神大牟田線の雑餉隈(博多区)~下大利(大野城市)間の約5.2㌔で進められている連続立体交差事業の工事現場を見てきた。3年後の2020年度中には線路は高架に移り、この区間から19か所の踏切がなくなるという。工事はずいぶん進んでいるように見えたが、福岡市が担当している雑餉隈周辺1.9㌔の事業が始まったのが2008年度、県担当の春日原~下大利間3.3㌔は2003年度。構想段階まで遡れば、“はるか昔”に始まった事業だ。踏切撤去による交通渋滞や地域の分断解消を待ち望んできた地元住民からすれば、事業はむしろ、遅々として進んでいないのかもしれない。(写真は上が春日原、下が雑餉隈で撮影)

 天神大牟田線の連続立体交差事業は、ターミナルの福岡天神から大橋までの4.8㌔はすでに完了しており、雑餉隈以南の完成により、福岡都市圏の大半の区間で西鉄電車は高架を走ることになる。ただし、大橋と雑餉隈の中間にある井尻(いじり)周辺だけは、この事業からポツンと取り残される。福岡天神から下大利までの各駅と、連続立体交差の状況を図示すると、次のようになる。(⇨が完成、または建設中、→が未着工)

 福岡天神⇨薬院⇨平尾⇨高宮⇨大橋→井尻→雑餉隈⇨春日原⇨白木原⇨下大利…

 なぜ、井尻だけが除外されたのか? 理由は明確で、大橋~井尻間では新幹線博多南線の高架、井尻~雑餉隈間では福岡都市高速道路の高架がそれぞれ天神大牟田線の上を横切り、これらを避けての高架建設は大変な難工事が予想されるからだろう。

 しかし、自分たちだけ見捨てられるという状況は我慢ならない話で、井尻地区のまちづくり団体が昨年、同地区でも連続立体交差事業を早期に実現するよう市議会に請願。議会側も「もっともなこと」と請願を採択したが、事業主体となる福岡市側は「事業効果及び事業費の試算を行い、費用対効果などを検討する」と慎重な姿勢だ。現在進めている雑餉隈周辺の事業費は約340億円、後始末まで含めた事業期間は2008~23年度の15年がかりで、事前調査の期間まで含めれば20年を超える。事業に必要なコストと歳月を考えれば、「やります」とは簡単には言えないということだろう。

 井尻周辺に残ることになる踏切は、大橋側5か所、雑餉隈側4か所の計9か所。ピーク時には、1時間のうち28.9~37.5分間も遮断機が下りた状態となっている。国の基準では40分を超えないと「開かずの踏み切り」とは呼ばないらしいが、行政側の分類はともかく、半分以上も遮断されているのならば、実感としては十分に「開かずの踏み切り」だろう。天神大牟田線沿線では、井尻地区の住民だけ今後も不便を強いられることになる。
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