電気柵の恐怖

IMG_8012.jpg

 先日、大野城市の「御笠の森」に行ったついでに、同市の仲畑地区を歩いてきた。私がこの街に住んでいた1970年代は、仲島、畑詰という二つの地区に分かれ、まだ農村の面影を色濃く残していた。田畑だけでなく、電気柵で囲われた牛の放牧地さえあり、バカな小学生だった私は不用意に電気柵に触れ、吹っ飛んだこともある。

 放牧地があったのは、友人宅から別の友人宅に通じる細い道(通学路でもある)沿いで、確か数頭の牛が放し飼いされていた。道を挟んだ反対側には畑が広がっていた。はっきり記憶していないが、電気柵には恐らく「危険」「触るな」などの注意書きはあったと思う。あったからこそ本当に電気が流れているのか、確かめようとしたのだろう。「不用意に」と書いたが、本当は確信犯で、ある日、友人と二人、ポケットにあった10円玉でそっと電気柵に触れたのだ。

 この時まで、電気とはビリビリするものだと思っていた。だが、違った。10円玉が柵に触れた途端、いきなり右肩にドンという衝撃が来たのだ。気付いた時には道を挟んだ畑の中で、友人と二人尻餅をついていた。本当はあまりの衝撃に思わず自分で飛び離れたのだが、「畑まで吹っ飛んだ」というのが実感だった。命拾いしたとも思った。

 この後しばらく、自分の愚かな行為を棚に上げて、「子供が通る道に電気柵を設置するなんてとんでもない。感電死したら、どうするのだ」と勝手に怒っていた。しかし、私と友人が感電死しなかったこと自体が、ちゃんとした電気柵だったことを証明するものだと後年知った。電気柵は電圧こそ高いものの、非常に短い時間しか電気は流れない仕組みのため、危険はないらしい。静岡県で2015年7月、シカの侵入防止用の電気柵が原因で2人が感電死する事故が起きたが、これは安全措置が講じられていない自作の電気柵だったために起きた悲劇だという。

 この感電体験談、長じて飲み会の席で披露すると、結構受けた。電気柵に触るバカな行為が面白がられたわけではなく、「通学路沿いに牛の放牧地があるなど、どれだけ田舎に住んでいたんだ」と。仲島、畑詰地区は、今では仲畑1~4丁目に再編され、住宅や事業所などが密集する地域に変貌した。人口急増で小学校も新設され、校区が変わったと聞く。放牧地はおろか、田畑さえ消えた地区内を歩き回り、見覚えがあったのは古びた神社ぐらいだった。ただ、小学生の頃には気にもかけなかった神社の名前を確認すると、井相田宝満宮…。井相田とは隣の福岡市博多区の地名だ。小学生時代、大野城市から飛び出し、博多区でも遊び回っていたことを初めて知った。
関連記事
スポンサーサイト
[Edit]

コメント

非公開コメント