子供より彫刻が大事な市政

旧聞に属する話2010-オブジェ

旧聞に属する話2010-オブジェ2

 福岡市の公式サイトに、寄せられた市民の声を紹介するコーナーがある。市民が市役所に物申すわけだから、中身は概ね苦情や要望の類で、中には「担当者の態度が気に食わない」といったものもある。このコーナー開設の狙いは「市役所にはこんなに理不尽な要求が寄せられているんですよ」とアピールするためでは?と疑っているぐらいだが、先頃紹介された障害児を持つ保護者からの要望は理にかない、なおかつ切実なものだった。

 要望は、市立心身障がい福祉センターに関してだ。センター内には肢体不自由児の通園施設があり、利用者は親子一緒にスクールバスで通ってくる。ところが、バスの乗降場所は道路脇。朝は渋滞の原因になり、雨の日には体の不自由な子供と荷物を抱えて保護者は傘もさせず、親子ともども濡れているのだという。センター玄関にはちゃんと庇があるのだが、ここにはオブジェが飾られている。オブジェを撤去、または移設し、バス乗降場所を庇の下に移して欲しいというのが趣旨だった。

 冒頭書いたように非常に理になかった話だと思うのだが、市側の回答は「否」。その理由というのが、このオブジェ、市の回答によると「作品の決定や制作の一部にも市民の方が関わる手法で進められた、福岡市初の市民参加による記念すべき作品」だからだという。表面のタイル作成にはセンターを利用していた障害を持った子供たちも多数参加したらしい。

 要するに極めて重要な作品ということを強調しているようだが、これは撤去しない理由になっても、移設しない理由にはならないだろう。このオブジェを動かしバスの専用乗降場所をつくることで、障害を持った子供たちやその保護者が喜ぶのならば、制作にかかわった市民も嫌とは言わないはずだ。

 現地を見てきた。上がそのオブジェの写真だが、見て分かるように、移設というほど大げさなものでなく、少し移動させるだけでも保護者の要望には十分にこたえることができると思えた。別に福岡市が「子供よりオブジェを大事にしている」とまでは言いたくないが、木で鼻を括ったような回答を見ると、単に面倒くさいのか、それとも回答した職員は現地を見てもいないのではないかと疑う。どちらにしても血の通った行政には程遠い。

 ちなみに、このオブジェは例の「彫刻のあるまちづくり事業」(
「大きな愛の鳥」 参照)により設置された作品の一つで、タイトルは「長浜4899」というらしい。ブタの形をした蚊取り線香の容器に似ていて、ユニークではある。
関連記事
スポンサーサイト
[Edit]