九大伊都キャンパス

旧聞に属する話2010-九大3

旧聞に属する話2010-九大1

 九大伊都キャンパスに立ち寄ってきた。同キャンパスは福岡市と糸島市にまたがる農村地帯にある。小高い山林地帯を切り開いて造られたキャンパスには、近代的な校舎群が一部完成しているが、周囲には造成されただけの土地や山林がまだまだ広がっており、全体としてはガラーンとした雰囲気だ。

 ここで学ぶ九大生たちは、帰宅することを「下山する」と言っているらしいが、ピッタリな表現だと思う。本屋もない、美術館も博物館もない、飲み屋もレストランもない。周辺環境はまさしく「山」同然だ。ここにお住まいの方には誠に申し訳ないが、現時点では「大学の立地場所」として全く魅力のない場所だ。

 一帯では区画整理事業が始まっており、周辺環境は徐々に整備されていくのだろう。何十年か先には大学が立地するにふさわしい街に発展しているのかもしれない。しかし、山同然の環境で貴重な学生生活を送らざるを得ない現役学生にとっては何の慰めにもならない話だ。

 「だったら、入学しなければいいのに」と反論もあるだろうが、大学に関しても様々な選択肢がある首都圏や京阪神とは事情が違う。経済的な問題などから、九州では唯一無二の旧帝大であるこの大学を目指さざるを得ない受験生は多いのである。

 今さら移転に反対しても意味がないのは分かっているが、それにしても周辺の街づくりが「今から」というのでは、福岡市の対応も遅すぎる気がする。この自治体は博多湾人工島というとてつもないお荷物を抱えており、この問題に振り回された結果、伊都キャンパス周辺の街づくりに取り組むだけの余裕がなかったのではないかと想像している。

 キャンパスの玄関口に当たるJR学研都市駅一帯が、パチンコ店街と化した(
「学研都市にパチンコ店林立」参照)のも、恐らく人工島問題が遠因だろう。学研都市は人工島に比べれば、はるかに利便性が良く、「黙っていても土地は売れる」と開発を野放しにした結果、巨大パチンコ店の大量進出を招いたに違いない。

 福岡市には今月、若い新市長が誕生した。彼が大学と大学周辺の街づくりについて、定見を持っていることを願うばかりだ。
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