「160万都市」の過疎

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 福岡市中央区・西公園の光雲(てるも)神社石段下で、十月桜の若木2本が小さな薄いピンク色の花を咲かせている。昨秋、この桜に初めて気付いた際は「狂い咲き」と勘違いしてツイッターで紹介し、恥をかいたが、春、秋の2回開花する変わった桜だ。全国の十月桜の名所では紅葉とのコントラストで人気を集めている例が多いらしい。西公園にも「もみじ谷」という場所はあるが、残念ながら十月桜とは場所が離れている上、葉はまだ青々としている。先日、山間部の早良区曲渕の国道263号線沿いで紅葉を撮影してきたが、こちらは見頃を過ぎつつある様子だったのだが。

 その曲渕地区にある唯一の学校、曲渕小学校が児童数減少に伴い来年3月末で休校になると聞いた。学制公布翌年の1873年(明治6)に創立された歴史ある学校で、現在は29人の児童が在籍している。曲渕小学校の歴史の中では決して少ない数ではないのだが、実はこの全員が小規模校への特別転入学制度「山っ子スクール」を利用して校区外から通ってきている子供たちだ。昨年度から地元の児童はゼロとなり、今後も増える見込みがないため、144年の歴史をいったん閉じることになった。今後、学校が再開される可能性はゼロではないが、市教委は今年2月の市議会常任委員会で「現時点で可能性は低い」と明言しており、このまま廃校になるだろうと報道されている。

 曲渕校区は広さ12平方㌔の広大さだが、大半は脊振山系の山林で、校区内に住んでいるのは2017年現在、72世帯、140人に過ぎない。ほぼ半数が65歳以上。2000年のデータと比べれば、世帯数はほぼ横ばいなのに、人口は60人も減っている。高齢者だけの世帯が増えているのだろうと想像される。山っ子スクールで29人もの子供たちが曲渕小学校に通っていたのは、田植えやタケノコ掘りなど同校ならではの体験活動が人気だったことも一因と言われるが、これらの活動には地域住民たちが協力してきた。しかし、住民の減少と高齢化で、学校を支えていくことが年々困難となり、地元児童がゼロとなったのを機に、地元側から早期の休校を求める声が上がったという。

 今月の福岡市の推計人口は158万1527人。人口が150万人を突破し、市が大はしゃぎしていたのは2013年のことだが、いつの間にか160万人が目前となっている。早々と「160万都市」と表現している報道機関さえある。しかし、一方で周縁部では、地域の中心だった小学校を自ら手放す決断を強いられるほど過疎と高齢化が進んでいる。「日本一元気な地方都市」などと浮かれていて良いのだろうか。
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