旧聞since2009

1973年に建てられた開拓記念之碑

 草深稲荷神社(印西市草深)から西へ5分程のところに原青年館があり、『開発記念之碑』がある。千葉ニュータウンの造成に伴うもので、船穂開拓農業協同組合によって1973年2月に建てられた。1945年、印旛飛行場跡地の開拓から28年。船穂開拓農協の組合員約90人にはどのような思いでいただろうか。  1945年11月、緊急開拓事業実施要領に閣議決定され、時を同じくして印旛飛行場跡地に開拓の槌音が響いた。終戦直後の食糧難の時...

続きを読む

野菊の墓文学碑

 中学生の頃、『野菊の墓』(伊藤左千夫)を読んだことある。政夫と民子のはかない恋、民子の悲劇的な結末……。同世代の若者が深く思いあっていると知り、感動した。この時、私小説を知った。思いのほか近くに野菊の墓文学碑があると聞き、出かけた。 松戸市下矢切、西蓮寺裏の境内にあり、「僕の家といふは、矢切の渡しを東へと渡り、小高い岡でやはり矢切村と云っている所」という書き出しで始まる。碑には「昭和三十九年十月」...

続きを読む

9年前に消えた草深原

 印西市に民話がある。その一つに「草深原(そうふけっぱら)の狐」があり、菓子屋が狐に化かされる話で、印西牧の原駅の南北両口に掲示してある。昔のことと勘違いしていたが、草深原をネットで見つけた。ジョイフル本田(複合スーパー)の北側のあたりで、UR千葉ニュータウン(県有地)が2014年建設、業者が住宅地を建設した。つまり草深原は9年前に消えたのだ。 学術的な貴重な自然環境であったようだ。毎日新聞によると、「...

続きを読む

室見川河口のオイルフェンス

 福岡市の室見川河口のオイルフェンスが設置されている。先月28日、パナマ船籍の貨物船「レディーローズマリー」が博多湾防波堤に衝突して乗り上げた。流失した油が漂っており、オイルフェンスは予防のためだろう。 昨年8月、脳梗塞で倒れた。右半身の麻痺のため、ここまで書き上げるのに2時間。コメントありがとうございます。ご容赦ください。...

続きを読む

補習をさぼり人吉の図書館で過ごした高2の夏

 JR肥薩線(八代~隼人、124.2㌔)が、令和2年7月豪雨で二つの鉄橋が流出するなど大きな被害を受け、八代~吉松間86.8㌔が不通となっている。全線が非電化単線の典型的なローカル線だが、明治、大正時代の鉄道施設が数々残り、近代化遺産、産業遺産とも呼ぶべき路線でもある。一方で、過疎化により、平均通過人員(1㌔当たりの1日平均利用客)はJR九州の全路線の中でワースト、年間の赤字額は全線で12億円近くにも上っていた...

続きを読む

インカ・ショニバレの『桜を放つ女性』

 1年ぶりに福岡市美術館内をぶらぶらしたところ、私には理解しがたい現代美術が並ぶ一角に、ずいぶん派手な作品が展示され、異彩を放っていた。色鮮やかなドレスをまとった女性がライフル銃を撃つ場面を表現したものだが、銃口から飛び出しているのは満開の花を咲かせた桜の枝で、女性の頭部は地球儀になっている。インカ・ショニバレさんという英国の現代美術家の作品で、タイトルは『桜を放つ女性』だ。 昨年春、国内初となる...

続きを読む

ベスト電器西新店、8月末で閉店へ

 福岡市早良区西新4丁目にあるベスト電器西新店が8月末で閉店することになり、現在、完全閉店セールが行われている。「完全閉店」とわざわざ銘打っているぐらいだから、建て替えではなく、この場所から撤退するのだろう。プリンターのインクや電球、メモリーカードなど、急ぎで必要な品を買うのにかなり重宝していた店だった。型落ちの家電が結構な安値で売られている時もあり、単身赴任準備のために掃除機や冷蔵庫などを買った...

続きを読む

貝塚公園のSL9600形、今年で満100歳

 福岡市東区の貝塚公園で、SL9600形の49627号機が保存、展示されている。「キューロク」の愛称で親しまれた大正時代の主力機関車で、49627号機は1920年(大正9年)に製造されたというから、今年で満100歳になる。現役時代は筑豊地区で石炭列車を牽引するなど活躍、68年に廃車となると同時に、貝塚公園で余生を送ることになった。それから半世紀以上がたった今も、堂々たる姿をとどめてはいるが、塗料はあちこちはげた状態だ。 ...

続きを読む

大濠花火大会復活の可能性は

 先日、久しぶりに福岡市中央区の大濠公園に行き、観月橋などの写真を撮ってきた。今月初めに取り上げた名島橋と名島川橋梁について調べた際、大濠公園にある5基の橋のうち、4基は昭和初期の1927年完成で、福岡市内では有数の古い橋だと知って急に興味を覚えたのだ。 5基の橋とは、池の中央にある中島に架かる全長106㍍の観月橋(写真1、2枚目)など4橋と、黒門川に架かる同22㍍の舞鶴橋(写真3枚目)で、中島に架かる4橋...

続きを読む

消えゆくランドマーク、西日本シティ銀行本店

 解体前に写真を残しておかなければ、と思いながら、つい後回しにしていた西日本シティ銀行本店ビルの写真をようやく撮影してきた。1971年に旧福岡相互銀行の本店として建設された建物で、設計は、世界的にも著名な建築家、磯崎新氏。博多駅前のランドマーク的存在だったが、建て替えにより姿を消すことになった。西日本シティ銀のニュースリリースには、6月から解体開始とあったので、「機会を逃したかもしれない」と一抹の不安...

続きを読む

コロナ禍で延期、山笠のない博多の夏

 例年ならば博多の旧市街をはじめとする福岡市内の各所に飾り山笠がお目見えし、間もなく舁き山笠も動き始める季節になった。しかし、今年は新型コロナ禍で博多祇園山笠の開催自体が延期となり、当然ではあるが、博多の街にはあるべき活気が感じられない。唯一、櫛田神社の飾り山笠だけが新たに制作され、7月1日にお披露目されたが、標題は、表が「清正公虎退治誉」、見送り(裏)が「桃太郎鬼退治誉」。どちらも「退治」なのは...

続きを読む

名島橋と名島川橋梁、長大アーチの競演

 福岡市東区の多々良川河口に架かる名島橋の写真を撮影してきた。九州の大動脈、国道3号線の橋でもあり、車で渡ったことは数限りなくあるが、徒歩で渡ったのは多分初めてではないかと思う。1933年(昭和8年)に完成した7連アーチの鉄筋コンクリート橋で、一昨年には国の登録文化財にもなっている。長さ約204㍍、幅は約24㍍。車道は片側3車線で、両側には広い歩道もある。昭和初期に完成した橋としては破格のサイズだ。この橋...

続きを読む

宇佐神宮で余生を送る『しあわせなクラウス』

 以前、大分県宇佐市の宇佐神宮に参拝した際、参道脇にSLが展示されていたので、写真に収めてきた。「神社になぜ、SLが?」と一瞬不思議に思ったが、傍らにあった説明パネルを読み、これが名高い『しあわせなクラウス』だとようやく気付いた。「クラウス号」こと26号蒸気機関車(以下、26号)は、明治時代の九州の鉄道草創期を駆け抜けた車両の唯一の生き残りで、今でも非常に大事にされていることが、漆黒に輝く車体を見るだけで...

続きを読む

日田彦山線復旧、BRT転換で決着

 JR日田彦山線(城野~夜明、68.7㌔)のうち、2017年7月の九州北部豪雨で被災し、不通が続いていた添田(福岡県添田町)~夜明(大分県日田市)間の約29㌔が廃線となり、BRT(バス高速輸送システム)に転換されることが事実上決まった。被災区間の沿線自治体(添田町、福岡県東峰村、日田市)の中で、唯一、鉄道での復旧を強硬に訴え続けていた東峰村が涙をのんだ形だ。「村の宝を失った」と、東峰村では悲嘆や不満が渦巻いてい...

続きを読む

博多区竹下に今も残る旧・雇用促進住宅

 福岡市博多区竹下に所用で行ってきた。小学校3、4年生だった1970年代に2年程住んでいたことがあるが、この街の小学校では、担任だった中年女に徹底的に嫌われ、不愉快な思い出しかない。竹下には二度と足を踏み入れる気はなかったが、遊び場だった神社が福岡平野では最古の前方後円墳だったことを偶然知り、2011年、確認のため禁を破った(「遊び場だった那珂八幡古墳」)。古墳以外でも弥生時代の遺跡などが近辺には多く、そ...

続きを読む

大濠公園の日本庭園、美術館と一体整備へ

 福岡市中央区の大濠公園の一角に日本庭園がある。長く福岡市に住んでいるので、存在ぐらいは知っていたが、風流などとは全く無縁の人生を送っているため、足を踏み入れたこともなかった。昨年、好天に誘われて大濠公園を散策した際、ついでだからと初めて入園してみたのだが、園内は想像以上に広大で、木々が多いのに驚いた。大濠公園は市民にとって、ランニングや散策、サイクリングなどを楽しむ活動的な空間だが、庭園内だけは...

続きを読む

サザエさん通りの歩道が拡幅工事中

 福岡市早良区の西新通り(別名サザエさん通り。原作者の長谷川町子さんと西新の縁が深いことにちなむ)で現在、電線の地中化工事が進められ、これに合わせて西南学院大の東側キャンパス沿いの歩道では、拡幅工事も行われている。西南学院側がセットバックする形で、ざっと見た限りでは、歩道幅は広いところで現在の倍の4㍍程になる。朝夕の通勤・通学時間帯には結構人通りが多い道だけに、利用者には喜ばれることだろう。ただ、...

続きを読む