旧聞since2009

特異な事件再録<2>現職警官の犯罪

 特異な事件を取り上げた記事を再録する試みの第2弾。今回は、福岡県警の現職警察官による犯罪を題材にした2本をまとめてみた。(写真は福岡県警本部) 警部補が拳銃強盗、信金に押し入る  1988年5月27日の白昼、福岡県警の現職警部補(当時46歳)が、自分の拳銃を持って佐賀県鳥栖市の信用金庫に押し入り、現金280万円を奪う事件が起き、大騒動となった。幸い死傷者こそ出していないが、威嚇のため発砲さえしている。犯行...

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特異な事件再録<1>見捨てられた子供たち

 1966年に起きたマルヨ無線事件に興味を覚えて以来、古い事件を題材にした記事を一時期、よく書いていた。しかし、飽きやすい性格のため、最近は興味を失い、過去に書いた記事の一部は公開を取りやめてもいた。それらの記事を読み返してみると、特異な事件を取り上げたものがあり、何本かをまとめて紹介することにした。いずれも約半世紀前の事件で、時代を感じるものもあれば、同じような事件が今も起きているものもある。 3歳...

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未解決事件、4か国語のチラシ

 福岡市東区で2001年2月17日に起きた老夫婦殺害事件について、福岡県警が日英中韓の4か国語でチラシを作り、情報提供を求めている。福岡県警が抱える未解決の殺人事件の一つ。英中韓国語でチラシを作製したということは「警察は外国人の犯行と睨んでいるのだろうか」と早とちりしたが、広く情報を求めたいという遺族側の要望によるものらしい。4種のチラシは、県警サイトの情報提供を募るページに掲載されているが、このページ...

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福岡事件と死刑存廃

 先月17日は“福岡事件”の西武雄・元死刑囚の命日(死刑執行日)で、残念ながら見学はできなかったが、福岡市内では彼の遺品展が開かれていたようだ。毎年、多くの事件が起きている福岡だけに、福岡事件というだけではどの事件のことかわからないと指摘されそうだが、一般的には1947年、中国人ブローカーら2人が射殺され現金が奪われた事件を指している。事件発生から69年、西・元死刑囚の刑が執行された1975年から数えても41年。...

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「ケヤキ・庭石事件」の生き証人

 福岡市中央区の地行中央公園(上の写真)に植えられている「緑の桜」の品種を確認するため、市の公式サイトに植樹に関する資料がないか調べていたところ、妙なことがわかった。この公園には、かつて市を揺るがした「ケヤキ・庭石事件」のケヤキが植えられていたのだ。その数はわずか3本だが、博多湾人工島を舞台にした事件だとばかり思っていたので、比較的身近な場所にも事件の生き証人があったとは意外だった。もっとも、事件...

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昭和40年代、50歳代は老人だったのか?

 妙なタイトルだが、昭和時代の連続殺人犯、古谷惣吉(ふるたに・そうきち)に関する話である。古谷は1965年(昭和40)、兵庫、福岡、滋賀、京都、大阪の5府県で短期間に8人の男性を殺害し、85年5月、71歳で死刑が執行された。当時、「一人暮らしの貧しい老人ばかり計八人を殺害」(古谷の死刑確定を伝えた78年11月28日の読売新聞夕刊)と報じられ、現在でもウィキペディアなどネット上には「8人の老人を手当たり次第に殺害」など...

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開いていた福岡タワーの窓

 7月27日夕、福岡市早良区百道浜を散歩していて福岡タワーの窓が開いているのに気付いた。「換気でもしているだろうか」と思い、別に気に留めることもなく通り過ぎようとしたが、これが通常の光景ではないことに思いが至った。何年も見続けてきた福岡タワーだが、恥ずかしながら壁面に開く窓があることを初めて知った。 このタワーの北側駐車場で5月11日夜、男子高校生の遺体が見つかり、タワーから転落したものと思われた。し...

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心中偽装の保険金殺人

 福岡県筑豊地区に以前、赤池町という自治体があった。1992年に財政再建団体に転落したことで有名だが、その直前、町で発覚した凶悪犯罪も赤池の名を全国に轟かせた。小田義勝、益田千栄の2人が1億円の保険金をだまし取るため、男女を心中に見せ掛けて殺害したという事件だ。小田には死刑判決が下され、8年前に刑が執行されている。一方、益田は無期懲役判決を受け服役中。当時の新聞記事等によると、取り調べや裁判がかなり異例...

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大分替え玉保険金殺人

 このブログを始めたのは2009年暮れだったので、まる5年が過ぎた。内容はと言えば、福岡のローカル情報を独断と偏見で紹介しているだけなので、普段の訪問者数はささやかなものだ。ただ、年に1、2度、目を疑うようなPVを記録することがある。おおむね九州の古い凶悪犯罪がテレビ番組で取り上げられ、たまたまこのブログに該当事件に関する記事があったケースだ。過去には「佐賀替え玉保険金殺人」「布団詰め死体駅送事件」「1979...

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土手町拘置支所はどこにあった

 2012年2月に「福岡拘置所史」という記事を書き、この中で福岡市土手町(現在の中央区大名2丁目付近、写真)に1916年(大正5年)から1965年(昭和40年)まで、福岡刑務所土手町拘置支所があったことを紹介した。土手町拘置支所は1965年、福岡刑務所が郊外の宇美町に移転した際、その跡地の一部に移った。これが現在の福岡拘置所だ。以上の記述は『福岡刑務所史』(福岡刑務所、1977)を参考にしたのだが、では、土手町拘置支所は...

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続・福岡OL遺棄事件に進展は

 4年前の2010年3月に起きた福岡OL死体遺棄事件に絡み、関係者の一人が今月6日、有印私文書偽造・同行使容疑で博多署(写真)に逮捕された。この関係者とは、被害者女性と交通事故を起こしトラブルになっていた会社員男性(36)。事件発生当時、疑惑の目を向けられた人物の一人だ。6日の西日本新聞夕刊で会社員逮捕の記事を読み、いよいよ捜査に進展かと思ったが、その後1週間以上がたっても続報はない。それどころか、全国紙をは...

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13人の死刑囚

 積読状態だった『死刑―究極の罰の真実』(読売新聞社会部、中公文庫、2013)を最近になって読み出した。興味深い箇所があった。冤罪事件として有名な「布川事件」で再審無罪となった桜井昌司さんの回想なのだが、1999年9月、死刑囚3人の刑執行を伝えるニュースが流れた際、桜井さんは一人の名前に聞き覚えがあったという。千葉刑務所の靴工場で一緒に働いていた無期懲役囚で、刑務官の前では模範囚ぶりを見せていたが、仲間には...

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日教組と戦った父母たち

 先日このブログのアクセス解析を見ていて、「日教組 宮崎県 通山小事件」をキーワードに訪問された方を発見し、かなり驚いてしまった。このキーワードでなぜ、当ブログにたどり着いたかは謎だが、私自身もこの事件を最近知り、関心を持ったところだったからだ。子供たちを放り出してストを強行した日教組教員に父母らが猛反発、彼らの転勤を求め延べ11日間にわたって集団登校拒否を続けたという事件。70年安保の前年、日教組が...

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2013無期懲役の状況

 法務省が2008年頃から毎年公表している「無期刑の執行状況及び無期受刑者に係わる仮釈放の運用状況について」が2012年末現在の数字に更新されている。改めて数字を見てみると、興味深い点がいくつかあったので、内容の一部を紹介してみたい。 昨年末の無期懲役囚は戦後最高を更新する1826人。昨年1年間で8人が仮釈放されたが、これを上回る14人が獄死している。8人のうち、6人が初めて仮釈放を許された者たちで、彼らの平均服役...

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死刑執行1231日の空白

 近藤武数(1989年11月10日、福岡拘置所で死刑執行。62歳没)1953年、強盗殺人事件で無期懲役判決を受け服役。68年6月に仮釈放され、その後、熊本市内で女性と知り合い結婚した。2年後に妻が家出したが、妻の姉夫婦が近藤と離婚させようとしたためだと邪推。熊本県高森町内の義姉宅に侵入し、義姉の夫を刺殺、義姉と子供2人にも重軽傷を負わせた。79年7月、最高裁で死刑判決。 立川修二郎(1993年3月26日、大阪拘置所で死刑執行...

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東京拘置所を見物してきた

 東京拘置所に行ってきた。と言っても別に収容者に面会してきたわけではない。単に周囲を散歩してきただけだ。1997年から行われた建て替え工事で周囲の巨大な塀は取り払われ、敷地の一部は公園化されてもいる。開放感さえ感じる施設だったが、死刑囚や刑事被告人らが収容されている放射状の巨大な建物には奇妙なまでに圧迫感を覚えた。 拘置所があるのは葛飾区小菅。初めて行く土地だったが、東武線の小菅駅で電車を降りると、周...

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別府巡査殺しの謎

 先日、大分県宇佐市に行ってきた。宇佐神宮に参拝し、境内に保存してあるSLクラウス号を見学してきたが、宇佐神宮だけが目当てだったわけではない。同市の四日市地区にあったという防空壕にも行きたかったのだ。だが、下調べが不十分だったこともあり、探し当てることが出来なかった。あるいは、そもそも現在では存在さえしていないのかもしれない。 この防空壕とは今から半世紀以上前の1962年2月17日、別府市内の派出所に勤務...

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