旧聞since2009

七隈線延伸

 福岡市営地下鉄七隈線の延伸がいよいよ動き始める。現在の終点・天神南からキャナルシティ博多近くを経由してJR博多駅に接続する1.4km(営業距離は1.6km)。空港線との接続が悪いうえ、駅間距離が短すぎるなど色々と使い勝手が悪く、毎年数十億円の赤字を出しているお荷物路線だが、市はこの延伸により利便性が向上、将来は黒字転換できるものと期待している。 それにしても地図(市の発表資料から)を見ると、七隈線の延伸区間...

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古代は港町だった西新

 福岡市早良区西新の県立修猷館高校の下に、弥生時代末期から古墳時代前期にかけての集落跡・西新町遺跡が眠っている。古墳時代前期(3世紀末~4世紀初め)には半島との国際交流拠点として栄えたと見られ、この時代のカマド付き竪穴住居跡が多数見つかっている。国内他地域でカマド付き住宅が広がるのは5世紀頃というから、ほぼ100年早い。古代の一時期、この一帯は国内最先端の港町だったようだ。 同遺跡の発掘調査は修猷館...

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ビル街の学校建設現場

 福岡市中央区長浜のビル街で、舞鶴小中学校の校舎建設が進んでいる。児童・生徒数減が続く市中心部の大名、舞鶴、簀子の3小学校と舞鶴中学校とを統合して2014年に誕生する市内初の小中連携校。福岡市が「子育て世代の中心部回帰を促すような学校にする」と意気込むだけあって、完成予想図(下)を見る限り、ずいぶん斬新な学校となりそうだ。グラウンドが地上2階にあり、その下の地下1階~地上1階部分に体育館などが配置されるら...

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日清製粉のしもべ

 福岡市中央区の須崎埠頭の旧市有地(写真)に、日清製粉の新工場が建設される。九州地区で同社は現在、佐賀県鳥栖市と福岡県筑後市の2か所に工場を抱えているが、原料の輸入小麦荷揚げ地である須崎埠頭に工場を集約し、輸送コストを削減する狙いだ。これに応え、市が1.2haの市有地を工場用地として用意したわけだが、市有地売却を審議した昨年12月をはじめとする議会の会議録を読むと、一私企業に対する市の厚遇ぶりが浮き彫りに...

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福岡市が登録文化財制度新設

 福岡市が4月から、登録文化財制度を新設することを決め、そのための文化財保護条例改正案を開会中の市議会に提案している。登録文化財とは、都市化の進展で急速に失われつつあった近代遺産(主に建造物)に緩やかな保護の網をかけるため、1996年の文化財保護法改正で新設された制度だ。第1号の国登録文化財には東大安田講堂などが選ばれている。市町村レベルで登録文化財制度を持っているところは恐らく少ない。近代遺産保護に力...

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ファルケン先生

 先日、今年初めてホークス戦(対ロッテ・オープン戦)を観戦してきた。抑えに登場したのはファルケンボーグ。連続三振でとんとんと2死を取ったが、清田に弾き返され、根元に粘られ、まるで馬原を見ているようだった。開幕までにはきちっと仕上げてくるとは思うが。 その馬原は長期離脱が確実。「4者凡退」と評されるなど、それほど安心感のある抑えではないが、鉄腕ぶりは比類なかった。だからこそ、日本人最速150セーブを達成...

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樋井川の浸水対策

 福岡市のほぼ中央部を流れる樋井川河口付近で、河床掘削や護岸補強の工事が続いている。同市で近年目立っているゲリラ豪雨による洪水を防ぐのが目的で、川面には多数の作業船が浮かび、なかなか壮観な光景だ。 工事を行っているのは福岡県で、2010年度から5年がかりで河口から約6㌔先の中流域まで工事を終える計画だという。事業費は約36億円というから、かなり大がかりなものだ。工事の直接のきっかけとなったのは、2009年7...

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磐井の墓・岩戸山古墳

 磐井の乱(西暦527~8年)で、ヤマト王権に滅ぼされた筑紫君磐井の墓とされる岩戸山古墳(福岡県八女市)に、風変わりな句が刻まれた碑があった。 稲妻や人形が原の魂よばい 芭蕉の門人、向井去来(蕉門十哲に数えられている)が元禄年間、この古墳を訪れた時に詠んだ句だと伝えられる。「魂よばい」とは、死者の名前を呼び蘇らせようとする呪術的儀礼だ。「人形が原」は、石人・石馬(古墳の石製装飾)が林立する風景から、古...

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ファントム引き降ろしの真相は?

 九州大学が昨年創立100周年を迎えたのを記念、現在『九州大学百年史』の編纂を進めている。2014年から3年がかりで全10巻を刊行する予定というが、九大史の中で少し関心を持っている出来事がある。1969年(昭和44年)1月に起きたファントム引き降ろしだ。黒幕は誰だったのか? 92年刊行の75年史では69年当時の学内調査委員会の報告(学内関係者の関与を疑いながらも推測の域を出ないと結論付けた)やその後の新聞報道を紹介したう...

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三無事件と川南豊作

 何度か取り上げてきた佐賀県伊万里市の川南造船所の廃墟(写真)は昨年暮れから解体工事が始まり、すでに跡地は完全な更地となったようだ。この造船所、川南工業浦ノ崎造船所というのが正式名。川南工業の社長を務めていたのは、戦後に起きたクーデター未遂事件「三無事件」の首謀者として知られる川南豊作だ。川南らは武力で政権の転覆を図ったとされるが、後に川南に下された判決は懲役2年に過ぎない。大仰な逮捕容疑とはあま...

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飯塚事件、再審の扉開くか

 飯塚事件の再審請求を巡り、久間三千年・元死刑囚(死亡時70歳)の有罪の証拠の一つとなったDNA鑑定の資料を福岡地裁(写真)が検証するとの報道があった。飯塚事件とは1992年、福岡県飯塚市で小学1年生の女児2人が殺害された事件だ。事件から約2年半後、久間元死刑囚が逮捕され、本人は一貫して容疑を否認したものの、DNA鑑定をはじめとする状況証拠の積み重ねで有罪とされ、2008年10月、死刑執行された。 DNA鑑定は、鑑定の誤...

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