旧聞since2009

大浜流灌頂

 博多に夏の終わりを告げるという「大浜流灌頂」が8月24~26日、福岡市博多区の大博町一帯で開かれた。流灌頂(ながれかんじょう)とは水死者や出産で亡くなった女性を供養する行事で、市の公式サイトには、宝暦5年(1755)の大風雨や、翌年の疫病流行で亡くなった人々を供養するため宝暦6年(1756)から大浜流灌頂は続いていると紹介されている。 宝暦5年の大風雨がどんな災害だったのか調べてみると、『福岡県史 通史編 福岡...

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岩窟弁財天で埋め立てを思う

 福岡市西区、愛宕小学校裏の住宅街に「岩窟弁財天」という小さな神社がある。御神体の女神(弁財天)像は愛宕山(鷲尾山)麓の洞窟に祀られており、海の安全の守り神として古くから地域の尊崇を集めてきたという。現在は入り口付近がコンクリートで固められているため人工の構造物に見えるが、自然の洞窟で、江戸時代に貝原益軒が著した地誌『筑前國続風土記』にも登場している。  江戸時代は弁財天のある辺り、つまり愛宕山の...

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うきはの円形劇場、復元を検討

 福岡県うきは市にある「道の駅うきは」に17日立ち寄った。普段は物産直売所前の駐車場を利用するのだが、この日は満車で、少し離れた第二駐車場に車を停めたところ、敷地の外れに「円形劇場由来」と書かれた市教委設置の立て看板があるのに気付いた。看板には以下の説明が記されていた。 通称「円形劇場」と呼ばれているこの屋外劇場は、大正十四年(一九二五年)に建設されたものです。 「野天でもいいから数千人が一堂に会さ...

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修学旅行土産の酒

 今年の夏、高校の修学旅行以来、数十年ぶりに岐阜県高山市に行ってきた。修学旅行の際は仲の良かった数人と高山の街を巡ったのだが、剣道部のS君がわざわざ旅先でナンパをしていたのが印象深かったぐらいで、街自体の記憶はなかった。この夏の旅行から帰宅後、撮影してきた写真を修学旅行の写真と見比べたら、巡った場所はほとんど同じだったことがわかり、ようやく少しずつ思い出がよみがえってきた。 そう言えば、高山の古い...

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平和ぼけしたクマゼミ

 先日の夕方、日課の散歩をしていた際、猫が街路樹につかまり立ちして何かをじっと見つめている光景に出会った。何事だろうと街路樹に目を向けると、猫の視線の先にクマゼミが止まっていた。地上からの高さはせいぜい1㍍程の場所。ずいぶん無防備なセミだと呆れたが、最近は低い場所に止まり、しかも人間に対してほとんど警戒心を持たないクマゼミを見かけることが多くなった。2枚のクマゼミの写真は、いずれもスマホで撮影したも...

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白川郷と飛騨トンネル

 台風11号が四国、近畿地方を縦断した10日、強い風雨にさらされながら岐阜県の白川郷にいた。以前から合掌造りの民家が連なる景観にひかれるものはあったが、“高山から車で3時間”という古い知識が災いし、九州人には簡単に行けない秘境だと思い込んでいた。ところが、2008年7月に東海北陸自動車道が全線開通して以来、アクセスは劇的に改善したという。高山から1時間足らず、名古屋からでも3時間程で行けると聞き、この夏は世界遺...

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