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ホテルデンハーグ、避難所に

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 ハウステンボスが東日本大震災の被災者受け入れ施設として名乗りを上げ、一昨年夏から休館しているホテルデンハーグなど190室を開放していると聞いた。東北から遠く離れた九州のリゾート施設に避難しようという人がどの程度いるかは分からない。しかし、現実に縁もゆかりもない九州に移り住んできた人が相当数いるのも確かだ。九州と東北とでは風土も人々の気質も違うが、他者を受け入れる度量は本来この地にはある。一時的な避難にしろ、本格的移住にしろ、被災者の方々にはぜひ九州を気に入って欲しいものだ。

 ハウステンボス内にはロッジ形式のフォレストヴィラのほか、三つのホテルがある。最高級がヨーロッパ、宿泊料金が比較的庶民的なのがアムステルダムで、避難所となるデンハーグはその中間的な位置付けだった。立地も大村湾に面した風光明美な場所ながら、パーク内では比較的外れでもある。ハウステンボスの経営悪化により、一部施設の休業が決まった際、デンハーグが対象に選ばれたのはこういった理由からだったと思う。

 ハウステンボスの経営がエイチ・アイ・エスに変わって以降、入場客は上向き加減で、昨年9月期決算では開業以来初の黒字を計上した。この黒字の裏には、地元・佐世保市からの交付金が大きかったという指摘もあるが、縮小続きだった経営は明らかに攻めに転じている。その一環として、今夏からのデンハーグ営業再開も伝えられていた。

 東日本大震災の発生により、海外客のキャンセルが続くなどハウステンボスも甚大な影響を被ったと聞いている。避難所となったことで、デンハーグの再開スケジュールにも余波が及ぶ可能性があるが、被災者の避難所となることは宿泊施設にとっては、むしろ最高の再デビューとも言えるのではないか。たとえわずかな数であっても、被災者の方々が一時の安らぎを得ることができたら、ハウステンボスが見せた男気は経営的にも決してマイナスにならないと思う。
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