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バローズのSF作品を再読

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 米国のSF作家エドガー・ライス・バローズ(1875~1950年)の金星シリーズ全5巻が福岡市総合図書館の閉架書庫にあるのを発見した。バローズとはSF草創期の人気作家で、代表作には大コケした映画『ジョン・カーター』の原作として知られる『火星のプリンセス』(火星シリーズの第1巻)、SFではないが、これも映画やテレビドラマ化されて有名なターザンシリーズなどがある。

 私が小学生の頃、再放送されていたターザンのテレビドラマが大人気で、男児の間では木の枝に吊したロープに「アーアァ~」と奇声を上げてぶら下がる遊びが流行っていた。よりターザンの雄姿に近付きたいと思う者は、半裸(要するに上半身裸の半ズボン姿)でターザンごっこに興じていたものである。

 本題に戻る。バローズのSF作品は主に創元推理文庫(一部はハヤカワ文庫からも)から出版されており、中高校生時代、大ファンだった私はあらかたの作品を読破した。中でもバローズのSF3大作品とも呼ばれる火星、金星、地底世界ペルシダーの各シリーズは特にお気に入りだった。どのシリーズも主人公が異世界に迷い込み、そこで恋と冒険を経験するという単純な筋立てだが、一度経験すると病みつきになる中毒性があった。さらにイラストレーター、武部本一郎氏の描いた流麗なカバー絵、挿絵が作品の魅力を高めていた。

 以前から「もう一度バローズ作品を読みたい」と思っていたが、どの作品も長らく絶版。だから十数年前、火星シリーズが創元推理文庫から合本版(全11巻が4巻にまとめられた。写真)で復刊された際は狂喜乱舞した。この時は他の作品も続々と復刊されるに違いないと大いに期待したのだが、一向にその気配がない。個人的な感想だが、火星に比べると金星、地底世界は作品の質、人気ともかなり落ちる。このため復刊に至らないのだろうと再読を半ばあきらめていた。

 先日、福岡市総合図書館で試しに蔵書検索をしてみたところ、バローズ作品が想像以上に閉架書庫に収められていたのだ。早速、金星シリーズを借りて来たのだが、数十年ぶりに読み返しての感想は、やはり「なんと言っても武部氏のイラストが素晴らしい」だった。バローズ作品の邦訳は、日本の傑出したイラストレーターの力を借り、恐らくは原作以上の存在に昇華していた。日本のバローズファンは幸せだった。

 総合図書館には地底世界シリーズも収められているようだが、これが残念なことに別の人が挿絵を描いたハヤカワ文庫版の方である(別の人には申し訳ない書き方だが)。武部氏の挿絵がなくても作品自体を楽しめるのか、近いうちに借りて確かめることにしたい。
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