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福岡空港周辺の大看板群

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 福岡空港周辺に林立する大看板群が、2014年度の福岡まちこわし大賞(市民団体の「福岡・住環境を守る会」主催)に選ばれ、我が意を得たりの思いだった。看板群を非常にみっともない存在と感じている人は少なからずいると思うが、一方で、福岡空港のシンボルと評したり、看板が光り輝く夜景を絶賛したりする人もいる。都市景観に対する考えは人様々で、まして金を生み出す看板が、市民団体の批判程度で消えてなくなるとは100%思えないが、何らかの議論のきっかけになればよいと思う。

 「福岡・住環境を守る会」が批判しているのは、看板を設置している企業や地主側ではなく、野放しにしている行政サイドだ。表彰状では「『アジアの玄関口』に看板がふさわしいのでしょうか? なぜ行政は放置しているのでしょう?」と疑問を投げかけている。しかし、今まで許してきた看板を仮に規制するとなると、自由な経済活動の規制にもつながりかねないだけに、行政にとっては大仕事だろう。

 看板敷地所有者とみられる方のブログによると、景気が良い時にはあの大看板一つで年間数百万円もの利益を地主にもたらしていたらしい。現在はそうでもないらしいが、地主にとって今も金の卵を産む鶏であるのは間違いないはず。今さら規制の網を掛ければ、裁判沙汰に発展するのは必至。都市景観について、“自画自賛の都市景観賞”を運営するぐらいが関の山の福岡市が、わざわざそんなリスクを冒すとは思えない。現実に福岡市の公式サイトや市議会の会議録をチェックしても、福岡空港周辺の看板問題が議論に上った形跡はない。タブーもあるのだろう。

 ただ、「福岡・住環境を守る会」自体は小さな団体であるようだが、まちこわし大賞はそれなりに注目を集める存在となっている。繰り返すが、こういう団体が声を上げたことをきっかけに、看板群が都市景観を壊す代物なのか、それとも本当に空港のシンボルなのか、広範な議論が生まれれば、福岡市や企業、地主もまったく無視というわけにもいかなくなる可能性はある。守る会も多分、それが狙いなのだろう。海外からの評価を気にしたがる国民性だけに、福岡を訪れた外国人観光客や留学生らがこの議論に加わってくれれば、と個人的には思う。

 「福岡・住環境を守る会」のホームページはこちら
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