旧聞since2009

「郷土の英雄」磐井

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 筑紫君磐井の墓と推定される八女市の岩戸山古墳横に2年前、岩戸山歴史文化交流館が開館した。岩戸山歴史資料館の老朽化に伴い、八女市が8億7000万円を投じて建設した新資料館。旧資料館は入館料130円と格安ながら、同市の鶴見山古墳出土の武装石人など数々の国重要文化財が展示され、以前このブログの中で、「“羊頭狗肉”ならぬ“羊頭松阪肉”のような驚きのある資料館だった」と紹介したことがある(「岩戸山古墳の新資料館」)。新資料館建設には巨費を費やしたのだから、当然、入館料は値上げされるだろうと予想していたのだが、12月3日、初めて交流館に行き、驚いた。無料だったのだ。例えが悪いかもかもしれないが、大きなエビ天で人気になった蕎麦屋が店を建て替えると、概ねエビは小さくなるものだが、逆にエビが2匹に増えたような感じだった。

 交流館は、岩戸山古墳をはさんで旧資料館の反対側にあり、館内から岩戸山古墳に通じる順路も整備されている。施設は鉄骨平屋2,000平方㍍、このうち常設展示室は840平方㍍の広さで、旧資料館の2倍。旧資料館と同じく、武装石人をはじめとする石人石馬(この多くが国重文)が展示の中心だが、説明パネル等は以前よりも充実し、磐井について、ヤマト王権に背いた逆賊ではなく、「郷土の英雄」という視点からスポットを当てている。2年前の博多祇園山笠では、新天町の飾り山の主役に磐井が選ばれたことさえあり、磐井を英雄視する考え方は、少なくとも地元・福岡では、もはや異端ではない。

 岩戸山古墳からの帰路、寄り道して久留米市の紅葉の名所、柳坂曽根のハゼ並木を歩いてきた。幕末、久留米藩がロウソクを特産にするため、ハゼの植林を奨励したのが始まりで、約1・1㌔の道沿いに200本が植えられ、ロウソク作りが廃れた今も住民たちによって大切にされている。残念ながら見頃は過ぎ、大半の木は落葉して黒い実ばかりが目立っていたが、一部の木はまだ真っ赤な葉が陽光に輝いていた。

 このハゼ並木から徒歩数分の場所には、実はここに勝るとも劣らぬ紅葉の名所がある。並木の東側に福岡県農林業総合試験場の出先があるのだが、この敷地内の東端にスギに似た木の並木があり、この木々の葉が秋には見事なオレンジ色に変わるのだ。試験場のウェブサイトを見ても樹種についての説明はないが、葉の形から判断して恐らくメタセコイアだろうと思う。ハゼ並木とは試験場を挟んだ別の道沿いにあるため、2種の木の紅葉を同時に見られないのが惜しい。
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