特異な事件再録<2>現職警官の犯罪

2020年04月27日
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事件簿
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 特異な事件を取り上げた記事を再録する試みの第2弾。今回は、福岡県警の現職警察官による犯罪を題材にした2本をまとめてみた。(写真は福岡県警本部)

 警部補が拳銃強盗、信金に押し入る
 
 1988年5月27日の白昼、福岡県警の現職警部補(当時46歳)が、自分の拳銃を持って佐賀県鳥栖市の信用金庫に押し入り、現金280万円を奪う事件が起き、大騒動となった。幸い死傷者こそ出していないが、威嚇のため発砲さえしている。犯行から10数分後、緊急配備中の鳥栖署員によって警部補はスピード逮捕されたが、取り調べが進むに従って明らかになった犯行動機はお粗末なものだった。

 警部補には妻子がおり、福岡市近郊にマイホームも構えていたのだが、一方で久留米市のアパートの一室に若いフィリピン人ダンサーを愛人として囲っていた。二重生活を維持するため消費者金融などから多額の金を借りていたという。さらには愛人から「スラム街に住んでいるフィリピンの両親に家を買ってあげたい」と金をせがまれており、拳銃強盗の直接の動機はこの金を工面するためだった。

 この事件前、借金苦の警察官による強盗(未遂)事件が全国で続発していた。警視庁・道府県警は消費者金融等に借金を抱える警察官を洗い出した上で、返済不能と判断した者には無理やり辞表を書かせ、退職金で支払わせる荒療治さえ行っていたという。その大掃除が終わった後に事件は起き、福岡県警の面子・信頼は地に堕ちた。警部補には1審で懲役10年(求刑15年)の判決が下っている。

 警察官の拳銃奪い発砲、泥棒の正体も警察官

 1964年10月15日未明、泥棒がパトロール中の警官から拳銃を奪い発砲する事件が起きた。この事件のどこが特異だったかと言えば、この泥棒も現職の警官だったのだ。しかもパトロール警官とは同じ署の勤務。警官の不祥事は今も昔も様々起きているが、これは相当珍しいケースだ。

 事件が起きたのは、現在の福岡市中央区大手門付近の路上。パトカーで巡回中だった20歳代の若い警官2人が、ジャンパー姿の不審人物を発見した。職務質問をしようとしたところ、男は逃走を図り、警官たちともみあいになった。男はすきを見て1人の警官から拳銃を奪い相次いで発砲、1人の警官は手首に傷を負い、もう1人は腹部に銃弾を受けた。しかし、腹部を撃たれた警官はひるまずに拳銃を奪い返し、2人はたまたま通りかかったタクシー運転手の協力を得て男を取り押さえたという。

 捕まった男というのが2人の警官にとっては先輩に当たる当時39歳の巡査で、しかも2人とは同じ警察署管内の派出所勤務。警察拳銃の取り扱いにも慣れていたはずだ。

 この事件前、大手門一帯では深夜、事業所に侵入し金品を奪う空き巣ねらいが続発していた。捕らえた巡査が持っていたカバンには、ドライバーや懐中電灯、金ノコなど明らかな七つ道具が入っていたという。まさに空き巣に入ろうとした直前、職質を受けたわけで、破滅的な抵抗はそのためだろう。最初は住宅ローンが苦しく空き巣に手を出したが、事件当時はスリルを味わいたくて犯行を繰り返していたという。

 この不祥事の責任を取り、当時の福岡署長は辞任している。腹部を撃たれた警官は重傷を負ったが、一命を取り留めた。定年まで職務を全うし、かなり出世もされたようだ。過去の危険業務従事者叙勲の受章者名簿にこの警官の名前があった。
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