同姓同名候補、過去にあった茶番劇

2020年04月30日
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政治&行政
 先日行われた衆院静岡4区補選に、2人の田中健さんが立候補していることに目を疑った。最初に野党統一候補の田中さんが名乗りを上げたところ、案分票の出方を見る実験だとして、NHKから国民を守る党が敢えて同姓同名氏を擁立したという。2017年1月の佐賀県唐津市議選に2人の青木茂さんが立候補した際、興味を覚えて過去の事例を調べたことがある。同姓同名候補は、普通は偶然の産物だが、茨城県那珂湊市(現在は合併で消滅)で1971年に行われた出直し市長選の例は、今回の補選と同様、故意の擁立劇によるものだった。しかも茶番劇と呼べるような代物で、地元では黒歴史として記憶されているかもしれない。

 出直し市長選は、前市長がリコールで失職したことに伴うもので、選挙戦の構図は当初、リコール運動の中心人物(以下、Aさんと表記)と中立派候補の一騎打ちとみられていた。ところが、土壇場になってさらに2人が立候補、このうちの1人がAさんの同姓同名氏で、Aさんの当選を阻止するため、失職市長派が担ぎ出したと言われている。これだけでも十分あきれる話だが、この同姓同名氏は入院中。いったんは失職市長派の誘いに乗って立候補を届け出たものの、告示日翌日には選管に辞退を申し出ている。当然ながら認められなかったが、選挙期間中は何の選挙運動も行うことなく、病院のベッドの上だったという。

 失職市長派は、同姓同名氏を立候補させることで有権者を混乱させ、案分票を大量に発生させる狙いだったとみられる。しかも、当時の新聞報道によると、案分票は二等分されると勘違いし、これによってAさんの当選を阻めると思い込んでいたらしいが、いくら何でもこれは信じがたい。悔し紛れの嫌がらせ、あたりが真相だったのではないだろうか。

 選挙結果は、Aさんが1万票あまりを獲得し、次点の中立派に約4,000票の差をつけて圧勝、同姓同名氏の方はわずか42票だった。選管は、候補者名の前に住所の地名を付記させるという方法で混乱を回避し、案分票は170票あまりに止まった。これも基礎票に応じて配分されるため、大半はAさんに回った。

 なお、前市長がリコールされたのは、職員組合と激しく対立したあげく、組合側を力で鎮圧しようと警備会社のガードマンを独断で臨時職員として雇ったことがきっかけだった。結構でたらめな話で、リコールも当然だと思える。ただ、労使対立の原因とは、市長が昇給やボーナスに成果主義、能力主義を導入しようとしたことで、これに組合側が猛反発し泥沼の争いとなったという。公務員の成果主義、能力主義など今となっては当然のことで、現在ならば市長の意向は問題なく実現し、反対する組合側が世論の袋だたきにあったと思う。1971年としては先進的な取り組みだったが、進め方が悪かった。
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