旧聞since2009

舞鶴公園の5号堀にまたも異変

 福岡市中央区の舞鶴公園5号堀で、水草が異常に繁茂し、水面を覆い尽くしている。しかも、この水草が枯れ始めていることから堀全体が茶色で、とても水堀には見えない状態だ。この堀は秋から冬にかけては、アカウキクサに埋め尽くされて真っ赤に染まる。3年前の8月には、アオコの発生が原因で、450匹あまりのコイやフナが酸欠死したこともあった。これ以来、5号堀からは魚の姿が消えた。福岡城址の舞鶴公園には、明治通りに沿...

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補習をさぼり人吉の図書館で過ごした高2の夏

 JR肥薩線(八代~隼人、124.2㌔)が、令和2年7月豪雨で二つの鉄橋が流出するなど大きな被害を受け、八代~吉松間86.8㌔が不通となっている。全線が非電化単線の典型的なローカル線だが、明治、大正時代の鉄道施設が数々残り、近代化遺産、産業遺産とも呼ぶべき路線でもある。一方で、過疎化により、平均通過人員(1㌔当たりの1日平均利用客)はJR九州の全路線の中でワースト、年間の赤字額は全線で12億円近くにも上っていた...

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インカ・ショニバレの『桜を放つ女性』

 1年ぶりに福岡市美術館内をぶらぶらしたところ、私には理解しがたい現代美術が並ぶ一角に、ずいぶん派手な作品が展示され、異彩を放っていた。色鮮やかなドレスをまとった女性がライフル銃を撃つ場面を表現したものだが、銃口から飛び出しているのは満開の花を咲かせた桜の枝で、女性の頭部は地球儀になっている。インカ・ショニバレさんという英国の現代美術家の作品で、タイトルは『桜を放つ女性』だ。 昨年春、国内初となる...

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ベスト電器西新店、8月末で閉店へ

 福岡市早良区西新4丁目にあるベスト電器西新店が8月末で閉店することになり、現在、完全閉店セールが行われている。「完全閉店」とわざわざ銘打っているぐらいだから、建て替えではなく、この場所から撤退するのだろう。プリンターのインクや電球、メモリーカードなど、急ぎで必要な品を買うのにかなり重宝していた店だった。型落ちの家電が結構な安値で売られている時もあり、単身赴任準備のために掃除機や冷蔵庫などを買った...

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貝塚公園のSL9600形、今年で満100歳

 福岡市東区の貝塚公園で、SL9600形の49627号機が保存、展示されている。「キューロク」の愛称で親しまれた大正時代の主力機関車で、49627号機は1920年(大正9年)に製造されたというから、今年で満100歳になる。現役時代は筑豊地区で石炭列車を牽引するなど活躍、68年に廃車となると同時に、貝塚公園で余生を送ることになった。それから半世紀以上がたった今も、堂々たる姿をとどめてはいるが、塗料はあちこちはげた状態だ。 ...

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大濠花火大会復活の可能性は

 先日、久しぶりに福岡市中央区の大濠公園に行き、観月橋などの写真を撮ってきた。今月初めに取り上げた名島橋と名島川橋梁について調べた際、大濠公園にある5基の橋のうち、4基は昭和初期の1927年完成で、福岡市内では有数の古い橋だと知って急に興味を覚えたのだ。 5基の橋とは、池の中央にある中島に架かる全長106㍍の観月橋(写真1、2枚目)など4橋と、黒門川に架かる同22㍍の舞鶴橋(写真3枚目)で、中島に架かる4橋...

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「洪水との共生」など世迷いごとでは

 幼児の頃の私は、近隣では「変な子供」として有名だったらしい。高校生ぐらいの時、親族が爆笑しながら教えてくれた。変だと思われた理由は、毎日、ヘルメットを帽子代わりにかぶって遊び回っていたからで、その頃の写真を1枚だけ持っているが、確かに変だ。このヘルメットは、当時人気だった特撮番組『忍者部隊月光』(1964~66年の放映)のキャラクター商品で、番組の大ファンだった私に、若い叔父が買ってくれたものだ。写真...

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消えゆくランドマーク、西日本シティ銀行本店

 解体前に写真を残しておかなければ、と思いながら、つい後回しにしていた西日本シティ銀行本店ビルの写真をようやく撮影してきた。1971年に旧福岡相互銀行の本店として建設された建物で、設計は、世界的にも著名な建築家、磯崎新氏。博多駅前のランドマーク的存在だったが、建て替えにより姿を消すことになった。西日本シティ銀のニュースリリースには、6月から解体開始とあったので、「機会を逃したかもしれない」と一抹の不安...

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コロナ禍で延期、山笠のない博多の夏

 例年ならば博多の旧市街をはじめとする福岡市内の各所に飾り山笠がお目見えし、間もなく舁き山笠も動き始める季節になった。しかし、今年は新型コロナ禍で博多祇園山笠の開催自体が延期となり、当然ではあるが、博多の街にはあるべき活気が感じられない。唯一、櫛田神社の飾り山笠だけが新たに制作され、7月1日にお披露目されたが、標題は、表が「清正公虎退治誉」、見送り(裏)が「桃太郎鬼退治誉」。どちらも「退治」なのは...

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名島橋と名島川橋梁、長大アーチの競演

 福岡市東区の多々良川河口に架かる名島橋の写真を撮影してきた。九州の大動脈、国道3号線の橋でもあり、車で渡ったことは数限りなくあるが、徒歩で渡ったのは多分初めてではないかと思う。1933年(昭和8年)に完成した7連アーチの鉄筋コンクリート橋で、一昨年には国の登録文化財にもなっている。長さ約204㍍、幅は約24㍍。車道は片側3車線で、両側には広い歩道もある。昭和初期に完成した橋としては破格のサイズだ。この橋...

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宇佐神宮で余生を送る『しあわせなクラウス』

 以前、大分県宇佐市の宇佐神宮に参拝した際、参道脇にSLが展示されていたので、写真に収めてきた。「神社になぜ、SLが?」と一瞬不思議に思ったが、傍らにあった説明パネルを読み、これが名高い『しあわせなクラウス』だとようやく気付いた。「クラウス号」こと26号蒸気機関車(以下、26号)は、明治時代の九州の鉄道草創期を駆け抜けた車両の唯一の生き残りで、今でも非常に大事にされていることが、漆黒に輝く車体を見るだけで...

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日田彦山線復旧、BRT転換で決着

 JR日田彦山線(城野~夜明、68.7㌔)のうち、2017年7月の九州北部豪雨で被災し、不通が続いていた添田(福岡県添田町)~夜明(大分県日田市)間の約29㌔が廃線となり、BRT(バス高速輸送システム)に転換されることが事実上決まった。被災区間の沿線自治体(添田町、福岡県東峰村、日田市)の中で、唯一、鉄道での復旧を強硬に訴え続けていた東峰村が涙をのんだ形だ。「村の宝を失った」と、東峰村では悲嘆や不満が渦巻いてい...

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考古学の不可解さが詰まった那珂八幡古墳

 先日、福岡市博多区竹下を歩き回った際、近くにある前方後円墳、那珂八幡古墳を5年ぶりに見てきた。昨年、市埋蔵文化財課が1985年以来の発掘調査を行い、古代史の定説に一石を投じる発見があったと報じられていたが、いったいどこを掘ったのだろうと思いながらも、なかなか行く機会がなかった。現地に立ってみると、今まで埋蔵文化財課のプレハブ倉庫(那珂整理室)があった場所がきれいな更地に変わっていた。ここは古墳の前方...

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博多区竹下に今も残る旧・雇用促進住宅

 福岡市博多区竹下に所用で行ってきた。小学校3、4年生だった1970年代に2年程住んでいたことがあるが、この街の小学校では、担任だった中年女に徹底的に嫌われ、不愉快な思い出しかない。竹下には二度と足を踏み入れる気はなかったが、遊び場だった神社が福岡平野では最古の前方後円墳だったことを偶然知り、2011年、確認のため禁を破った(「遊び場だった那珂八幡古墳」)。古墳以外でも弥生時代の遺跡などが近辺には多く、そ...

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稼働を待つ朝倉の水車群

 福岡県朝倉市の直売所に農産物を買いに行き、ついでに今月17日からの稼働を始める「菱野の三連水車」を見てきた。今年は5年に一度の作り替えの年に当たるらしく、水車はまだ骨組みの状態で、周囲には水を汲み上げるための柄杓など真新しい部品が積まれていた。新聞やテレビでは三連水車の話題しか取り上げられないが、ほかに久重、三島の二連水車が近くにはある。これらの水車群と、筑後川の水を供給する堀川用水は1990年、セッ...

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団地の公園みたいな板付弥生のムラ

 福岡市博多区にある板付遺跡は、我が国で稲作が始まった弥生時代初め(紀元前4世紀頃)の集落跡として全国的にも有名な遺跡で、1976年には国史跡に指定され、1995年6月には環濠集落を復元した史跡公園「板付弥生のムラ」が全面オープンしている。環濠集落のほかにも、水田や用水路、ガイダンス施設などを備えた立派な施設なのだが、全体の広さは2万8,000平方㍍弱と、佐賀県の吉野ヶ里歴史公園(広さは100㌶超)などに比べれば...

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油山市民の森リニューアル、まだ模索中

 新型コロナ感染拡大による緊急事態宣言が解かれ、福岡市でも図書館や博物館、美術館などがようやく再開した。ここに至ってもアベノマスクが届いていない世帯がいまだに多い様子だが。それはともかく、駐車場が閉鎖されていた油山市民の森も利用可能になったので、一帯を散策し、中央展望台から福岡市街地を眺めてきた。ただ、感染防止のため、中央広場のベンチやキャンプ場、アスレチック、草スキー場は今なお閉鎖中で、平常の姿...

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